月白

月白

宇佐美まこと

出版社:朝日新聞出版 出版年月日:2026/01/07

朝日新聞出版 | 2026/01/07

4.50
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

この本、ほんとうに面白かったですよ。戦後の事件を追いかけるというミステリーのようなありながら、主人公の海老原が息子を一人で育てている様子も丁寧に描かれていて、人間らしさが感じられます。 古い事件の真相を求めて取材を進める海老原が、だんだんと事件に引き込まれていく過程がね、つかまれてしまいました。北川フサという殺人鬼がどういう人物だったのか、その周辺の人間関係、当時の時代背景……いろいろなことが絡み合っていく感じがしています。 特に良かったのは、派手さはないけれど、きちんと書き込まれた登場人物たちです。誰もが何か複雑な背景を持っていて、単純には割り切れない。そういう人間臭さが、この年になると読んでいてしみじみときます。 ページをめくる手が止まりませんでした。難しい本ではないけれど、読み応えがあって、読み終わった後もしばらく考えさせられます。朝日新聞出版らしい、良質な小説だと思いますね。

感想

妻を亡くしたフリーライターが、過去の殺人事件を追うことで次第に事件に吸い込まれていく——その緊迫感がたまりませんでした。 自分もフリーランスということで、主人公が息子と向き合いながら仕事をしている姿勢に共感できたんです。でも同時に、取材という名目で謎へ向かっていく執着の危うさもリアルに感じました。 この本の面白さは、単純なミステリーじゃないところですね。戦後の殺人鬼・北川フサという実在しそうな人物と、現在の登場人物たちが時を超えて繋がっていく構造が巧妙。取材を進める海老原が何かに引き寄せられているような不気味さと、歴史の重みが絡み合っている感じが、最後まで引き込まれました。 エッセイ的な筆致と物語性のバランスも良くて、気軽に読み始めたのに気づいたら一気読みしていました。複雑に絡み合う人間関係と事件の真実が、少しずつ明かされていく快感。フリーランスとして働く身だからこそ、余計に主人公の葛藤が心に残っています。