殺人の門 上 新装版
KADOKAWA | 2026/02/25
みんなの感想
松本清張の作品を読むような気持ちで手に取りましたが、これは本当に引き込まれてしまいました。人間の心の奥底に潜む暗い感情を、これほどまでに丁寧に描いた小説は久しぶりです。 主人公・田島の人生が、たった一人の同級生との出会いによってどんどん狂っていく過程が、ひとりごとを聞かされているような感覚で迫ってきます。いじめ、貧困、孤立——次々と襲いかかる不幸が、やがて一つの強固な願望へと結晶していく。その心理描写がなんともリアルで、時に不快ですらあります。でもその不快感こそが、この物語の力なんだと思うんです。 文庫本のちょうどいいサイズ感も好きで、通勤時間に少しずつ読み進めるのが習慣になりました。上巻だけで既にここまで惹きつけられるんですから、下巻がどうなるのか、もう待ちきれない気分です。人間の業深さについて、改めて考えさせられる傑作だと言えます。
図書館で何気なく手に取った本です。表紙の不穏な雰囲気に惹かれて読んでみたんですけど、う~ん…って感じですかね。 主人公の田島が倉持という男によって人生がどんどん狂っていく様子を描いた話なんですが、正直なところ、ここまでで何が起こったのか、なぜそこまで憎むのかが曖昧で引き込まれきれませんでした。心理描写は細かいんだけど、それがかえって重くて、読み進めるのにけっこう気力が必要。ライトノベルみたいなサクサク感を期待してると肩透かしを食らいます。 ただ、この絶望的な雰囲気とか、善悪じゃ済まない人間関係の複雑さとか、そういう大人っぽい空気は嫌いじゃないです。新装版ってことは昔から評判の本らしいし、上巻だから続きが気になるっちゃ気になる。でも今のところは「普通」という感じ。下巻で面白くなるといいんですけどね。
久しぶりに重めのサスペンスに手を取ってみました。小学校時代の出会いから人生が狂っていく、という設定は興味深いし、心理描写も丁寧だなと感じました。 ただ、正直なところ、上巻を読み終わった時点で「面白い!」とまでは言えないのが本音です。主人公の不運の連鎖は理解できるのですが、どうしても共感しきれない部分が多くて。会社員の日常の悩みとは別の次元の話なので、ついつい冷めた目で読んでしまいました。 「殺人願望」というテーマ自体は確かに問題作らしい重みがありますし、その心理に迫ろうとする姿勢は評価できます。ただ、物語として引き込まれるかというと、そこまでではなかったというのが正直な感想。通勤電車での気軽な読書には、もう少し軽めのものを選んだ方が良かったかな、と今は思っています。 下巻へ続くようですが、どうしようか迷い中です。
話題の作品ということで手に取ってみましたが、正直なところ期待と異なりました。 人間の心底に潜む殺意を描くというコンセプト自体は興味深く、同級生との関係が人生を狂わせていくという設定も引き込まれます。ただ、主人公の心理描写が執拗で、読んでいて息苦しさを感じてしまいました。管理職として部下の気持ちや複雑な人間関係を扱う身ですが、この作品の心理分析は深さというより、ただ負のスパイラルをなぞっているように感じられました。 また、上巻という分割形式も気になります。ここまで読んでも物語の着地点が見えず、続きが気になるというより「どこへ向かうのか」という不安だけが残ります。重厚な人文書や思想書をよく読む身からすると、もう少し主人公の思考に哲学的な深みがあれば、単なる暗さの羅列ではなく意味のある問い掛けになったのではないでしょうか。 話題性だけで手を出さず、自分の好みをもっと大切にすべきだと改めて思わされた一冊です。