鴨川ホルモー
KADOKAWA | 2009/02/25
みんなの感想
京都を舞台にした話題作だと聞いて、手に取ってみました。予想を大きく上回る面白さです。 新入生が謎のビラに導かれ、奇想天外な「ホルモー」という戦いに巻き込まれていく。一見するとナンセンスな設定ですが、京都の歴史や風情を背景に、若々しいエネルギーと知的なユーモアが縦横に駆け巡っています。古典と現代を巧みに融合させた世界観は、読んでいて本当に楽しい。 何より印象的なのは、登場人物たちの台詞の鮮烈さです。会話の端々に京都弁が活かされ、古い歴史を引きながらも、大学生たちのリアルな悩みや恋心が自然に描かれている。管理職として様々な人間関係を見てきた身としても、キャラクター造形の巧みさに思わずうなります。 後半に向けて物語の加速度は増し、最後まで一気読みしてしまいました。娯楽小説としての完成度の高さと、文学的な奥行きがうまく両立している稀有な作品だと思います。話題になるのは当然かもしれません。
京都を舞台にした痛快活劇として、これ以上ないくらいよくできた作品だと思います。「ホルモー」という架空の競技を中心に、新入生たちが巻き込まれていく様子が、本当に面白い。 何より印象的なのは、著者が京都という都市そのものをキャラクターのように描き出しているところです。祇園祭、葵祭といった実在する祭りや、碁盤目状の街並みが物語の舞台装置として有機的に機能していて、読んでいて京都の空気が伝わってくるような感覚になります。 登場人物たちの掛け合いも秀逸で、友人同士の会話の流れが自然で、思わず笑ってしまう場面もたくさんあります。古典文学の引用も随所に散りばめられていて、高度な教養に支えられた娯楽小説という、なかなか稀有な存在になっていると感じます。 ただ、後半に進むにつれて設定が複雑化していく部分が少し難しかったので、完全に理解するには何度か読み返す必要があるかもしれません。それでも、この独特の世界観に引き込まれる魅力は変わりません。娯楽性と文学性のバランスが素晴らしい傑作です。