十戒
講談社 | 2025/08/08
みんなの感想
週刊文春の話題作だということで、いつか読もうと思いながら積ん読になっていた一冊。今回文庫化されたこのタイミングで、ようやく手にとることができました。 密室ミステリーというのは一定数存在しますが、この作品のユニークさは、犯人を特定してはならないという禁止事項そのものが物語の核になっている点です。離島という地理的な隔絶に加えて、論理的な制約までもが登場人物たちを追い詰めていく緊迫感は秀逸。 浪人中の少女・里英の視点から事件の推移が描かれるため、読者も彼女と一緒に絶望感や焦燥感を味わうことになります。公務員として日常的に法令や規則に向き合う身としては、この「十戒」という絶対的なルールが容赦なく機能する世界観が、妙にリアルに感じられて、余計に背筋が凍る思いでした。 綿密に構成されたプロットながら、どんでん返しに次ぐどんでん返しで、読み進めるのが止まりません。話題になったのも納得の傑作です。
話題のミステリーということで、さっそく文庫版を手に取ってみました。閉ざされた島、謎めいた十の戒律、そして犯人探しを禁じられるという奇想天外な設定は、確かに興味をそそられます。 ただ、読み進めていくと、少し物足りなさを感じてしまいました。登場人物の描き分けが難しく、9人の関係者たちの個性があまり印象に残らないんです。中盤までは緊張感があるのですが、後半に向かうにつれて、やや単調に感じられてしまいました。 それでも、このような大胆な設定を思いついた著者の創意工夫には敬意を払います。また、会社員という自分の立場から考えると、島での利害関係が絡む人間模様は、どこか職場環境に通じるものがあり、そこは興味深かったですね。 累計40万部とのことですから、多くの読者に支持されているのでしょう。ただ個人的には、もう少し登場人物の掘り下げやトリックの精緻さがあれば、もっと満足できたかもしれません。ミステリー好きな方なら、一度は読んでみる価値はあると思います。
話題になっていたので気になって手に取った一冊です。文庫化されたということで、ちょうど読みやすいタイミングだったのかもしれません。 孤島に集められた人たちが、謎めいた「十戒」に縛られながら、犯人を特定してはいけないというルールのもとで過ごす三日間。このプロットだけで既に緊張感が伝わってきます。登場人物たちの背景や関係性が丁寧に描かれており、誰が犯人なのか、そして本当に爆弾があるのか……そうした疑問が次々と湧き上がってきました。 心理サスペンスとしての完成度が高く、予想を裏切られることが何度もありました。最後の方は徹夜してしまいました。ただ、終盤の展開については少し複雑で、一度では理解しきれない部分もあり、もう一度読み返したいという気持ちになっています。 57歳になると、こういった知的興奮を感じさせてくれる作品はありがたいですね。現代的なテーマも含まれており、今の時代だからこそ響く物語だと思います。文庫本という形式も持ち運びやすく、良い選択でした。