生殖記
小学館 | 2024/10/02
みんなの感想
朝井リョウの新作が話題だったので、さっそく手に取りました。『正欲』以来3年半ぶりということで、期待値も高かったのですが、見事に応えてくれた一冊です。 この作品の最大の魅力は、その斬新な視点。ヒトのオス個体という、通常の小説ではまずお目にかかれない観点から物語を紡いでいく手法には、正直驚きました。新宿の量販店というありふれた舞台が、こんなにも興味深い空間に変わるんだとは。著者の創造力の凄さを改めて認識します。 自営業をしていると、人間関係や社会との繋がり方について考えることが多いのですが、この本はそういう根本的な問いを、極めてユニークな方法で提示してくれています。「寿命を効率よく消費する」というフレーズも印象的で、読み進めるにつれ、その意味の重みが増していく。 ページをめくる手が止まらなくなる面白さではありますが、思考を巡らせながら読む必要がある作品です。トレンド性と文学的な深さを兼ね備えた、さすが朝井リョウといった傑作だと思います。
朝井リョウの新作『生殖記』を読み終わりました。『正欲』以来3年半ぶりということで期待していたんですが、期待を裏切らない面白さでした。 この小説は、一見すると日常的な場面から始まるんですが、徐々に著者独特の視点が浮き上がってくる。タイトルの「生殖記」が示唆する通り、人間の本能的な部分を解剖するような冷徹さと、それでいて人間への深い洞察が交錯しています。エンジニアとして仕事をしていると、つい効率や論理で物事を考えてしまいがちですが、この本はそうした思考の陥穽を見事に描き出しているように感じました。 文体としても読みやすく、ページをめくる手が止まりません。ただ時々、著者の問題意識がかなり先端的で、ついていくのに少し考え込んでしまう箇所もありました。でもそこが、気軽に読むだけではない、この小説の魅力なんだと思います。疲れた夜に気軽に開きながらも、しっかり考えさせられる、そんな一冊に出会いたい方にはぜひおすすめです。