海辺のカフカ(上巻)

海辺のカフカ(上巻)

村上春樹 / 村上 春樹

出版社:新潮社 出版年月日:2005/03/01

新潮社 | 2005/03/01

3.50
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

村上春樹の作品を読むのは今回が二度目ですが、この『海辺のカフカ』は期待値を大きく上回りました。 15歳の少年が家を出る決意をする—その冒頭から引き込まれます。エンジニアとして論理的な思考に慣れた身としては、一見すると非現実的な展開も、丁寧な心理描写を通じて自然に受け入れられました。特に、少年が持ち出した物品一つひとつが象徴的に機能する構成の巧妙さに感心しました。 上巻という限定された範囲でも、物語の世界観がしっかり構築されており、続きが気になります。ただし、正直なところ下巻まで完読すべきか少し躊躇しています。春樹作品は分量が大きく、時間確保が課題なので。レビューを参考にしながら、他の読者の評価も確認してから判断したいというのが慎重な私らしいところです。 それでも、この上巻だけでも十分に読む価値があると感じました。現実と非現実の境界を揺さぶられるような、大人だからこそ味わえる物語体験でした。

感想

「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」――15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真