連続殺人鬼の妻

連続殺人鬼の妻

ジャクリーン・バブリッツ / 宮脇 裕子

出版社:新潮社 出版年月日:2026/02/28

新潮社 | 2026/02/28

3.75
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

イヤミス好きな友人の勧めで手にした一冊です。連続殺人鬼とその妻たちという、かなり独特な視点の作品でした。 物語の軸はルースという女性が過去と向き合いながら真相を追っていくというもの。説明文の「妻たちの心でくすぶり続ける感情」という部分に惹かれて読み始めたのですが、この設定は面白いと思います。殺人鬼という極端な存在の影に隠れた女性たちにスポットを当てるというのは、確かに新しい視点です。 ただ、実際に読んでみると、その面白さを十分に引き出しきれていない印象を受けました。ストーリーテリングに工夫が欲しかった部分もあるし、キャラクターの内面描写ももう少し深掘りがあれば良かったと感じます。職場でも家庭でも人間関係のもつれに向き合う毎日なので、心理描写の充実度には結構敏感なんですよね。 テンポよく読める作品ではあるので、移動中や休日にさらっと読みたい時には良いかもしれません。でも心に強く残る何かがあるかと言うと、うーん、という感じでしょうか。

感想

新潮文庫の新刊コーナーで目に留まった一冊。連続殺人鬼の妻たちという、確かに斬新な視点から事件を描いているというので手に取ってみました。 結論から言えば、着想は悪くない。連続殺人鬼という既に飽和した題材に、その妻という周縁的存在を据えることで、新たな物語の可能性を見出そうとした試みは評価に値します。心理サスペンスとしての構造もしっかりしており、ページをめくる手が止まりません。 ただし、仕上がりという点では物足りなさが残る。登場人物たちの内面描写が表層的で、特に妻たちの心理に深さが不足しているように感じました。殺人鬼との関係性を掘り下げれば、もっと複雑で人間的な葛藤が浮かび上がったはずです。またストーリーも中盤から後半にかけてやや散漫になり、説得力が減じる箇所がありました。 イヤミスというジャンルの需要は承知していますが、単に不快感を与えるだけでは文学として弱い。もう一段階、登場人物への入り込みや世界観の構築に時間をかけてほしかった。悪い本ではありませんが、傑作までの道のりはまだある、というのが率直な感想です。

感想

話題の本ということで手に取ってみたのですが、期待以上でした。連続殺人鬼の妻たちという、これまであまり着目されなかった視点から物語が展開していく面白さ。犯人たちではなく、その妻たちの心理描写に焦点を当てるというのは、本当に巧妙です。 主人公のルースが過去のトラウマと現在の事件を通じて真相に近づいていく過程が、引き込まれるほど緻密に描かれています。特に、加害者の妻という立場にある女性たちの複雑な感情や葛藤が、読んでいて胸が詰まるような思いがしました。善悪では割り切れない人間の深さというか、そういう部分が丁寧に描かれているんですよね。 イヤミスというジャンルも初めて知りましたが、不快感を覚えさせるミステリーというコンセプトが、この作品には本当によく合っています。単なるサスペンスではなく、人間関係の複雑さや心理的な恐怖感を味わわせる—それが新しく感じました。パートの合間に、つい続きが気になって読んでしまいました。同年代の方にもぜひお勧めしたい一冊です。

感想

連続殺人鬼の妻という一見するとセンセーショナルなテーマながら、丁寧に作られた作品だと感じました。 冒頭から引き込まれるのは、単なる事件の追跡ではなく、ルースという主人公の過去と現在が絡み合う構造です。NYでの生活を送る彼女が故郷の事件を知った時の心理描写が秀逸で、自分も同じように過去に縛られている場面を何度も経験している身として、共感しながら読み進められました。 最も印象的だったのは「殺人鬼の妻たち」という視点です。通常のミステリーとは異なる角度から人間の複雑さを掘り下げており、事件そのものよりも、その周辺にいる人々の心理が丹念に描かれている。慎重に物語を進める著者の筆運びに、何度も立ち止まって考えさせられました。 後半のどんでん返しについては賛否があるかもしれませんが、私としては納得できる構成だと思います。心理サスペンスとしての完成度が高く、仕事で疲れた時の手に取る本としては少々重いかもしれませんが、じっくり読む価値のある一冊です。