店長がバカすぎて
角川春樹事務所 | 2021/08/10
みんなの感想
本屋大賞ノミネートと聞いて、どんな内容だろうと慎重に調べてから手に取った一冊です。吉祥寺の書店で働く契約社員・谷原京子と、彼女を困らせ続ける店長・山本猛。この二人の関係を描いた作品ですが、読んでみると予想以上に深い作品でした。 一番感心したのは、キャラクター描写の丁寧さです。店長は一見するとただの「バカな上司」に見えますが、読み進めると彼がなぜそのように行動するのか、その背景が少しずつ見えてきます。京子との関係性も単純な対立ではなく、仕事への向き合い方や人間関係の複雑さを丁寧に描いている。 社会人として働く身としては、自分たちの日常がこんなにも丁寧に、そして温かく描かれていることに驚きました。不満や疲れ、でも仕事や本への愛情を忘れない京子の姿勢は、多くの読者の心に響く理由がよく分かります。重すぎず、かといって浅くもない、絶妙なバランスの一冊。書店員さんにはもちろん、仕事に向き合っているすべての人におすすめできる作品です。
書店員の京子の日常を描いたエッセイです。無能な店長との日々の葛藤、顧客対応の疲労、薄給の不満——働く人なら誰もが感じたことのあるような職場のストレスが、率直に、時にユーモラスに綴られています。 本屋大賞ノミネート作という触れ込みで手に取ったのですが、正直なところ期待値と現実のギャップを感じました。共感できる部分は確かにあります。特に「仕事は嫌いだが本は愛している」という葛藤の描き方には、同じ知識労働者として心当たりがありました。 ただ、全体的には職場ストレスの「記録」に留まっているように感じます。観察は鋭いのですが、そこから何かしら普遍的な洞察へ昇華している瞬間が少ない。エッセイとしての深掘りが物足りなかったというか。 書店という現場の雰囲気が好きな方、あるいは同業の方なら、より共感度が高いかもしれません。ただ広く「働く」ことについて考えさせられたいなら、他の選択肢があるかなという印象です。参考になれば幸いです。